量産を基軸とする波佐見焼の開発・生産の大まかな流れをご紹介します(ロット数や商品の特性によって若干工程が異なります)。量産というとオートマチックな印象がありますが、実際は手仕事による工程が多く、熟練の技術が活かされています。

開発・生産の工程

1. 商品企画・設計

コンセプトを元にアイテム、形状、サイズ、色柄などの方向性を検討。イメージをラフスケッチで具象化し、最終的に図面に落とし込みます。近年は3Dソフトの活用も増えています。

商品企画・設計

2. 原型

図面を元に石膏を削り出し原型を制作。素地は乾燥・焼成の過程で11〜13%程縮小し、部分的に歪む場合があるため、経験則からイレギュラーを想定し、調整していきます。

原型

3. サンプル・石膏型

原型から捨て型(試作用)を制作し、サンプルをつくります。型を微調整をして形状が確定したら、捨て型を元にケース型(使用型の複製用)、使用型(生産用)を制作します。

サンプル・石膏型

4. 陶土 (主原料)

陶石を細かく砕いた陶土粉を攪拌槽に入れ、粒子を一定サイズに整えます。磁石で鉄分を除去後、プレスして水分を抜き、最後に土練機で混練・脱気してからオーガーで棒状に整えます。

陶土(主原料)

5. 成形

型を使用する"鋳込み・機械ロクロ・ローラーマシーン"の他、型を使用せず手作業で行う"手ロクロ・手びねり"などが主な手法。量産では基本的に型を使用します。

成形

6. 素焼

成形後、素地を削って形を整え、風通しの良い場所で充分に乾燥させます。その後、窯に入れ約900℃で焼成することで形状が安定し、絵付や施釉などの作業が容易になります。

素焼

7. 下絵付

施釉前に描くのが"下絵付"、施釉後に描くのが"上絵付"。下絵付の主な手法として、伝統的な筆による手描き(染付など)と判や機械を使用する印判(判子・ 転写・ パット印刷)がある。

下絵付

8. 施釉

素地を釉薬に浸し、焼成(約1300℃)することで釉薬が溶け、表面に滑らかなガラス質の膜ができます。装飾だけではなく、吸水性をなくし、硬質化させる役割があります。

施釉

9. 本焼成

素地を定位置で焼成する箱型構造の"シャトル窯"、移動しながら焼成するトンネル構造の"トンネル窯・ローラーハース窯"が量産の主流。窯の種類によって焼成時間が異なります。

本焼成

10. 窯出し・上絵付

急冷は割れの原因になるため、一定の温度に下がるまで窯に入れたまま自然冷却します。上絵の場合は本焼成後、低温で溶ける顔料(上絵具)で絵付し、再度約800℃で焼成します。

窯出し・上絵付

11. 検品・梱包 

ピンホール・鉄粉・突起物・ヒビ・欠け・歪み・色ムラなどをチェック(商品の特性によって許容範囲は異なる)。破損防止の為、緩衝材で箱内の隙間を埋めて梱包します。

検品・梱包

12. 出荷

新年度前後の3・4月、年末の11・12月が出荷量のピーク。これまで店舗や業者向けの卸売対応の出荷が主流でしたが、ネット通販などの小売対応が近年増加しています。

出荷