OEMの一事例として、丹心窯と共同開発したオリジナルのワインカップをご紹介。工芸品レベルの繊細な商品開発の裏側には、長年積み重ねた技術力と不屈のチャレンジ精神がありました。

開発ストーリー

唯一無二のモノを

"波佐見焼400年の歴史にもない、世界で唯一無二の製品をつくって欲しい"

約3年にも及ぶ長いプロジェクトの発端は、とあるお客様の一言からでした。

 

具体的には、世界的なグラスブランドのように、ステム(軸)が細長い繊細なワインカップを陶磁器で実現したいとのこと。しかし陶磁器は、他の工業製品よりも成型が難しく、希望の形状を1点ならまだしも"量産"することは我々の常識では考えにくいことでした…。困難な課題に頭を悩ませる一方、"やる前からできない"と言わないのが波佐見の気質でもあります。

 

まず始めに、共創するパートナーをリストアップ。様々な窯元に打診した結果、この難題に手を挙げてくれたのが"丹心窯"の長崎社長でした。丹心窯は繊細な表現に定評があり、磁器に透明度が高いガラスを埋め込む"水晶彫り"は、ここでしかできない特殊な技法で門外不出。そうした高い技術を持つ丹心窯においても、今回のプロジェクトは容易ではなく、試行錯誤の連続でした。

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創意工夫と発想の転換

最も困難な課題は、上部のカップを下部の細いステムで真っ直ぐ垂直に固定すること。陶磁器は乾燥や素焼、本焼成の各工程で収縮しますが、生地全体が均等に収縮するとは限りません。生地や釉薬が薄い部分と厚い部分とでは収縮の具合が異なり、歪みやすいのです。それ以外にも、原材料の種類や成型方法、さらには重力も変形の要因になります。今回のように細身で不安定な形状を高水準で量産するには、様々な工夫と発想の転換が必要でした。

 

ポイントは、①できるだけ肉厚を均等にすること。②カップ部分とステム部分を別々に異なる成型方法でつくること。③それらを接合する際、生地の水分量を一定水準に保つこと。④継ぎ目を平滑にして一体感を出すこと。⑤企業秘密のため詳細は控えますが、特殊な焼成方法がキーポイントになっています。

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技術力とチャレンジ精神

要約すると数行ですが、長い月日と数々の失敗の積み重ねて上記の手法に辿り着き、なんとか製品第1弾が完成したのです。当初は太白(柄なしの白)でしたが、水晶彫りを施すことでより美しく個性的な佇まいになり(写真右)、その後、さらにステムを長くしたワインカップ(写真中央)や背の高いシャンパンカップ(写真左)へと発展させ、3年かけてようやく理想とするカタチを実現したのです。

 

工芸品レベルのものを1点のみ制作するのと、量産するのとでは別次元の難しさがあります。今回の成功の裏には、高い技術力だけではなく、波佐見の職人ならではのチャレンジ精神とひたむきな努力があったからこそ。こうした職人たちのポテンシャルを活かした独自性の強い開発こそ、私たちの強みでもあります。

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